Masaki Koike's blog

編集などを生業としています。モヤモヤの吐き出し、触れたものやつくったものの所感の備忘録など。

編集後記:220101-220109

毎週できるだけ書くようにしている、日記ならぬ週記的な振り返り記事、年も変わったし改めて書こうと思います。

 

さて、2022になって最初の1週間。というか、いま改めて「2022」って打っていて気づいたけれど、近未来感がすごい。僕の時間感覚は、まだ2020年代に到達したことを、どこか受け入れきれていないところがある気がする。

 

年末年始とはいえ、けっこう仕事がたまっていたので、3日からガンガン稼働していた。そのまま昨日まで走り抜けたような感覚。とくに告知できるようなものはないけれど、さすがに取材はあまりなく、ひたすらにライティングや編集の作業を進めていた。年明けからガンガンと素晴らしい原稿をアップしてくれる書き手の方々には感謝しかない。

 

あと、初めてしっかりとしたインタビューを受けた。自分の仕事について言語化するのって、こんなに大変なのかと痛感。言語化というのは、とても孤独な作業。ものを書くときは、紙やドキュメントツールという”半他者”のおかげでそれが乗り切れている(cf.『ライティングの哲学』)わけだけれど、喋るときは、インタビュアーが伴走してくれることが何よりもありがたい。自分がインタビュアーを務めるときも、いい伴走者でありたいなと改めて思った。今回のインタビューは、幸い気心が知れていて、腕も確かな人にインタビューしてもらえたため、緊張していたにもかかわらずなんとか乗り切れたと思う。

 

年始は、3日続けて『ゲット・バック』を観ていた。先月の半ば、観ようと思って1ヶ月だけディズニープラスに入会したものの手がつけられていなかったが、思いの外よくて一気に観てしまった。僕はあんまり良いビートルズのリスナーではないけれど、それでも十分楽しめた。4人のキャラがよくわかるのはもちろん、よく知っているこの曲やあの曲が作られていく過程も興奮。最後のルーフトップ・コンサートはもちろん大興奮。それにしても、この撮影時の4人、今の自分とほぼ同年代なんて、ミュージシャンは早熟な人が多いとはいえ、気が引き締まる。

disneyplus.disney.co.jp

 

それから、前三部作を見返したうえで、昨日『マトリックス』の新作も見に行った。ただ、「リローデッド」以降特に感じていたが、僕はあまりマトリックスは合わないなと再確認。『ウェストワールド』もそうなのだけれど、テクノロジーと幸福/倫理みたいな主題にはとても興味があるしいろいろと読んでいるものの、それを描いたフィクションは多くの場合、退屈させられてしまう。恋愛をはじめ、人間関係の描写がどうしても後景に退きがちなのも、あんまり得意じゃない一因なのかも。

 

読んだものは、いくつか印象に残るものがあったのでPick。

デール・カーネギー『人を動かす』を今さらに読んで、"重要人物たらんとする欲求"を最重要ポイントに置いている点に意外な驚き、哲学書として読み解くと楽しそう。深澤直人『ふつう』のテーマ設定に、自分の問題意識ジャストなこともあり、やられた感。伊藤沙莉『【さり】ではなく【さいり】です。』、あの底抜けの明るさの背景がよく伝わってくる、あたたかくて巧い文章でよかった。鶴見俊輔『限界芸術論』、テーマ設定はとてもよかったものの、「限界芸術」については掘りきれておらずその難しさを痛感。梅棹忠夫『私の知的生産の技術』、あらためてセルフケアとしての「知的生産の技術」について考えさせられてとてもよかった。

 

あ、それと三谷幸喜の『鎌倉殿の13人』が昨日はじまる。『真田丸』が大好きだったのでとても楽しみにしていたが、予想外に暗く、良い意味で期待を裏切られた感。これから楽しみ。

 

一週間とおして、なにか全体的に焦っていた。その結果、中途半端なマルチタスクが増えていた気がする。今週は、一つひとつの時間を丁寧に味わうことを意識して過ごしたい。