Masaki Koike's blog

編集などを生業としています。モヤモヤの吐き出し、触れたものやつくったものの所感の備忘録など。

編集後記:220117-220123

今週は、体感時間としてはけっこう長かった気がする。基本的には、外出予定は少なく、家にこもって粛々と仕事をしていたのだが、公私ともにいろいろと揺さぶられることがあったせいか、わりと長く感じた。

 

ちょうど今日読んだ磯野真穂『他者と生きる──リスク・病い・死をめぐる人類学』でも、まさに他者と共に予想外のできごとに向き合っていくとき、「統計学的時間」と「関係論的時間」が乖離するのだ、ということが語られていた。今週は、自分の人間としての未熟さを痛感して食らっていたのだけど、しっかりと前を向いていこうという気力がもらえた。磯野さんの新刊、よかった。主題としてはこれまでのお仕事の延長線上にありつつ、狩猟採集民信仰や自分らしさ信仰への分析は鮮やかだったし、何より最終章は、『急に具合が悪くなる』の続編とも読めて胸を打たれた。

 

今週はわりと仕事関係の読書が多かったけれど、三中信宏『読む・打つ・書く──読書・書評・執筆をめぐる理系研究者の日々』、椎名美智『「させていただく」の使い方』あたりは面白かった。

 

テレビドラマでは、友達からすすめてもらった『おいハンサム!!』がダークホース的におもしろい。前時代的な価値観に見えつつ、語り口や前提条件で「古さ」を削ぎ落としている。観ているだけで幸せになる系のドラマ。

 

音楽は、話題沸騰の宇多田ヒカル『BADモード』は、まぁ流石によい。デビュー25年経って、現代的なライフスタイルや葛藤を自然体で描けるって、本当にすごい。でも、同じ日にリリースされて完全に影に隠れていた阿佐ヶ谷ロマンティクス『大人幻想』も好き。ほんと好きな音。たまたまApple Musicのレコメンドで出会ったLAGHEADS『What is “LAGHEADS”?』も気持ちいい。

 

そうそう、今週はカネコアヤノ初めをしてきた。eastern youthとの2マンで、コースト納めでもある。コーストの1階席、しかも整理番号100番代とかだったので、3列目くらいで観られて最高だった。パフォーマンス自体もめちゃよくて、オラオラ度・勢いはここ最近のライブで一番だった気がする。アーケード始まりは武道館を思い出し興奮、カウボーイは通常運転でテンションが上がる。ごあいさつのサビの声量はもはや笑った。セゾンも安定。抱擁は相変わらずの聖性。爛漫は相変わらず熱気。エメラルド、ベストアクトでは?柔らかさと強さ。閃きは彼方、祝日も相変わらずよい。光の方へは今までで一番、軽やかで疾走感があった。そして凶暴な愛のままを。最後にさよーなら、あなた。最高。

 

それから、ここ数週間決めきれなかった企画、数ヶ月モヤモヤしていた方向性が、今日歩いたり近所の喫茶店で50分くらいコーヒーを待ちながらノートに書きつけたりしてたら、ぜんぶ解消した。とてもスッキリ。しばらくは、粛々と手を動かすフェーズ。というわけで、今週がんばる。