昨年末、新潟出張ついでに、工芸の勉強だと燕三条をたずねたらとてもよかったので、今年は出張の機会なども活かしつつ、工芸ゆかりの地を10ヶ所たずねよう、という目標を立てた。
というわけでまずは、京都出張のついでに、朝日焼をたずねて宇治まで行ってきました。
朝日焼は、以前、関連する記事を作ったことがあって、写真からでも伝わってくる色の美しさ、宇治川の情景とのリンクなど、気になっていた。
沖本ゆか×丸若裕俊|もののものがたり#1 九谷焼の箸置き/朝日焼の湯吞 | 遅いインターネット
宇治駅は、京都駅から、在来線で30分くらい。途中、伏見稲荷や伏見桃山なども通過。去年、京都から奈良に行ったときも思ったけれど、京都駅から数駅南下するだけで、一気にシティ感がなくなる。
宇治駅、なぜかアーチが連なる凝った建築。
あとから調べてみたら、若林広幸という京都出身の建築家の設計らしい。
京阪宇治駅が「美しい」理由、設計者に聞くと... 「宇治の『色気』を表現した」(全文表示)|Jタウンネット
駅から出ると、すぐに一面、宇治川が広がる。シンプルに美しい。あったかい季節なら、この川辺でビールかお茶でも飲みながらぼーっとしたかった。鴨川といい桂川といい、京都は川が多い。
そして、お目当ての「朝日焼 Shop&Gallerly」へ。言ってしまえばただ朝日焼の陶器を売っているだけの店なのだけれど、店内から見える景色がとても美しく、いるだけで幸せな気分になる。(店内撮影許可とってます)
そして何より、月白釉という釉薬で塗られたものが特に美しい。今まで見た焼き物の中でも、かなり上位に入るレベルで好きかもしれない。この色は米から出ているらしいから不思議。流石にこのレベルの価格のものは買えないが、特に印象に残ったものを。
月白釉に一目惚れしてしまい、迷った末、比較的手頃な価格の一輪挿しと豆皿を購入。帰宅後に蛍光灯のもと撮ってるので魅力が伝わりきってないが、しばらくは机の上に置いてニヤニヤする。
近くに工房もあるのだけれど、特に一般開放や見学などはしていないとのこと。
そうそう、モーニングをとったお店で「宇治に行く」と言ったら「鳳凰堂ですか?」と言われて、その存在を思い出したので、いちおうついでに寄っておいた。あらためて壮観。こちらもせっかくなので、宇治抹茶も飲んだ。
ついでに、『鎌倉殿の13人』の聖地巡礼、そして来年の大河でもテーマになっている源氏物語の聖地巡礼も。
というわけで、宇治の朝日焼はこんな感じ。とにかく本当に、宇治川の風景と一体化しているような美しさだった。『朝日焼Shop & Gallerly』での購入時についてきた説明書によると、1600年頃から朝日焼はあって、お茶文化とセットだったとのこと。そしてその源流には、宇治川がある。宇治川の朝霧はお茶を生み、流れ出た土が何千年と堆積したものが山となり陶土となり、朝日焼になる。まさに自然と人工が溶け合う工芸のお手本のようなストーリー。
あと繰り返すけど、あたたかい季節にまた来たい。