Masaki Koike's blog

編集などを生業としています。モヤモヤの吐き出し、触れたものやつくったものの所感の備忘録など。

「会社を畳む」という選択。積極的廃業のススメ【2020年編集後記】

紅白もそこそこに、なんとなくお酒を飲みながら敬愛するサザンオールスターズの年越し配信を観て、年越ししています。2021年はカジュアルにブログを書いていきたいと思っているので、その第一歩として、以前書きかけたものも活用しつつ、カジュアルに「2020年」の編集後記を記します。

special.southernallstars.jp

 

 

ここ数ヶ月、目の前の仕事も中長期的な意思決定も、なにかとバタバタしていてゆっくりと身の上を振り返る時間が取れなかったのですが、年末ということで無理矢理にでも振り返ります。 

 

2020年、多くの方々にとってそうであったであろうのと同様に、僕にとっても激動の一年となりました。コロナ禍によって有無を言わせぬ生活様式の変容を強いられ、また後述するようにここ2年間多くを捧げてきた会社を畳む選択をしたこともあり、総じて密度の濃い一年だったと思います。何はともあれ、今こうして無事に振り返れていることに感謝です。

 

さて、個人的に2020年を振り返ると、大きく2つのトピックに集約できるなと思いました。

  • 会社を畳んだこと
  • 2021年以降の活動の萌芽がたくさん生まれたこと

です。

 

会社を畳みました

まずは会社を畳んだ話。

 

note.com

 

こちらの代表・長谷川のブログにもあるように、2018年より約2年間続けてきたモメンタム・ホースを解散することに。僕はずっと関わる形態としては業務委託だったのですが、内実は制作のみならず経営的なロールにも携わらせていただいており、キャリア上はもちろん、人生においても非常に濃密な2年間を過ごすことができました。小さな会社を運営するということ、事業・組織が成長するというプロセス、そして月並みかつクサイ表現ですが、仲間たちと本気で試行錯誤する経験を積めたのは、何物にも代えがたいです。

 

クローズの理由については、ここで上記のブログ以上のことを書くことは差し控えさせていただきますが、総じてポジティブな意思決定でした。日本では「会社を畳む」ことがネガティブに捉えられがちですが、そもそも「会社」の起源は古代イタリアの貿易会社であり、「航海ごとに結成され、航海が終わると分け前を分配して清算されていた」と言われています(参考)。つまり、会社とは本来プロジェクトチームであり、「畳む」ことをその本質に含んでいたわけです。

 

役割が終わったのであれば、(もちろんステークホルダーに迷惑をかけないようなかたちで)潔く畳む。そうした選択肢がもっと当たり前になったほうが、経営にかかわる諸々のストレスに悩まされたり、「潰さない」ことが会社の第一の存在目的になってしまって苦しんだりすることが減るのではないでしょうか。

 

(余談ですが、会社がプロジェクトチームではなく、継続を前提とする組織に変質していったのは、17世紀以降、オランダ東インド会社をはじめとする「株式会社」が誕生してからであるようです。)

 

そもそも、一口に「会社を畳む」と言っても、「廃業」と「倒産」ではだいぶ意味合いが違ってきます。日本だと「倒産」のイメージが強いと思うのですが、「『廃業』は単に事業をやめることであり、『倒産』というのは債務の支払いができなくなって廃業せざるを得なくなること」なのです(参考)。もちろん、日本の会社は戦後、社会保障セーフティネットや都市化で失われた中間共同体を代替する機能を持っていた側面もあるので、一概に「必要がなくなったらやめればいい」と断言するのは暴論かつ無責任ですが、「やめてもいいんだよ」というカードはもっと一般的になっても良い気がします。いわば「積極的廃業」を提唱していきたい。

 

……だいぶ話が逸れましたが、代表はじめ個々のメンバーの幸せ、今後人生でやっていきたいことを踏まえ、「会社を畳む」が最良の選択だろうという結論に至り、会社を解散することになったというわけです。もちろん僕としても初めての経験ですし、あらためて自分の生き様にも向き合わざるを得なくなったので、大きなイベントになりました。一緒にもがきながら会社運営に取り組んできたメンバーたちは、今でも気のおけない友人ですし、少なくとも自分の人生においては、今後も大事な人たちであり続けると思っています。

 

色々と仕事の種まきができた

会社を畳んだのと並行して、いち編集者としては、さまざまなご縁に恵まれて、徐々に仕事の幅が広がっていった一年でもありました。

 

ここ、詳しく書きたい気持ちは山々なのですが、諸々の事情で詳らかにできない部分も多く、いくつか手応えのあった仕事をログ的に残しておくにとどめます。公開できない話については、2021年に順次ご報告していければ。

 

caixa.jp

note.com

slowinternet.jp

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ch.nicovideo.jp

community.camp-fire.jp

wired.jp

wired.jp

www.fastgrow.jp

www.fastgrow.jp

www.fastgrow.jp

note.com

eight.career

cultibase.jp

 

 

ここ最近は本当に運良くご縁に恵まれ、早く世に問いたくてウキウキしてしまうような仕事、自分のキャリアにとって一つの到達点となりうる仕事、かなりチャレンジングだけれどワクワクする仕事、仕事じゃないけれど異常に楽しい謎の取り組みなど、2021年にむけて良い感じの種まきができています。今後はたくさんの良いご報告ができると思います(というか、します)。 

 

とはいえ、いくら機会をいただけても、しっかりと良いアウトプットに結び付けないと何の意味もないので、より一層のレベルアップが求められることを実感しています。ある意味で非常にシビアな環境に置かれるようになると思うので、より一層、粛々と邁進していければと思います。

 

また冒頭に書いたように、2021年はもっとカジュアルにブログを更新していきたいです。仕事の報告や真面目な論考だけでなく、軽い感じのコンテンツ紹介などもしていければ。

 

今年お世話になった皆様、ありがとうございました。来年もよろしくお願いいたします。良いお年を。