ここ最近、かなり忙しくて、疲れている。こんなことばかり書いている気がするが、不思議なことにそういうときのほうが、何かたまった膿みを吐き出すようにブログを書き殴りたくなる。スケジュールがふわふわとしていた大きめのプロジェクトが一気に動き出し、しかも明確に期限がある紙媒体の編集で、いつもあまり使わない神経や労力を使いながら、日々もがいている。そんな状況下、出張が入ったりもして体調がバグりかけたが、なんとか持ち直してきた。でもMPはかなり毎日ギリギリの戦いをしていて、今日も朝7時頃からぶっ続けで自宅作業し、19時半ごろに限界になって切り上げ、常備してある金麦を飲みながらキャベツとしめじともやしの味噌汁、生姜焼きを作って、栗山千明の演技を見たいがためだけに見始めたしょうもないドラマを見ながら食べ、食後もブナハーブンを片手に、机というかもはや床に積み上げられた数えきれない積読の山の中から適当に、頭を空っぽにしても読めそうな、牧野富太郎のムックと横浜の市民酒場のムックを眺めるもいまいち乗り切れず、体力もMPも回復しないので諦めてお風呂に入り、そしたら意外にお風呂上がりに当たった夜風が今日一日で最も強い快楽を与えてくれて、少しブログでも書こうかという気分になったので、スマホでだらだらと書く。
というのも、先週、金沢出張のついでに、工芸産地ツアーの一環で九谷に寄ってきたので、なんとかその記録だけでも書かねばと。とはいえちょっとさすがに疲れているので、最低限の記録だけ。
金沢には、取材ではなく、ちょっとした農作業仕事で行った。5年ぶり3回目くらいかな。今年から関わっている嗜好品のメディアでは、お茶を中心にさまざまな素材開発もしていて、その一貫で今年はなぜか定期的にこういう仕事がある。今回はとあるハーブ農園で植え付け作業。ただ、ちょうど涼しい時期、かつ7月にやった徳島の阿波晩茶づくりがキツすぎて、それに比べると全然ゆとりがあり、終始和やかな気持ちで終える。畑で食べた生ハーブやシソの葉に感銘を受ける。帰りしなに同行者で、金沢駅付近で、パフェのような海鮮丼。美味しかったけれど、選択肢の分岐が多すぎて疲れた。そうして体力も限界がきて、その日は何もせずそのままホテルで寝る。いつもこういうときはビジホに泊まるのだけど、ふと思い立って、大浴場つきのカプセルホテルに泊まってみる。確かに安いし、閉鎖空間自体は嫌いじゃないのだが、トイレや洗面に立つのにいちいちカードキーが必要だったり、離れていたりするのがかなり面倒だった。その意味ではゲストハウスのドミトリーとかのほうがまだラクだったかも。やはりどんな狭くても一部屋で完結するビジホにするべきと学ぶ。そして寝る前に翌朝のカーシェアを抑えようとしたら、近隣すへてで払っていて絶望。こんなの初めてだ、平日なのに。費用はかさむが仕方なくレンタカーに方針変更するもやはり駄目。諦めて、昼過ぎまでだけならカーシェアが一台だけ空いていたので、そこを押さえる。夕方までゆっくり九谷をまわる予定が、見事に狂う。
翌朝、自分と同じく後泊していたライターさんと急遽モーニングすることになり、人気のパン屋兼喫茶店へ。開店凸するも並んでいて、しかもなんだかんだ話し始めたら楽しくなってたくさん喋ってしまい、10時過ぎに金沢を出る。1時間近くかけて九谷に行き、まずは九谷焼美術館でなんとなく触りを掴む。前田家の宮廷工芸として栄えた九谷焼。幼き頃、前田家をきっかけに歴史にハマった過去があるので、ふしぎな縁を感じる。九谷の青手に惹かれる。
とはいえとにかく時間がなく、駆け足で見て次の目的地、九谷焼窯跡展示館へ。九谷だからこそ、はあまりなかった気もするが、やはり窯はテンションが上がる、シンプルに。
そうこうしているうちに、タイムオーバー。今回は直後に別の利用者がいるので、カーシェアの延長はできない。車を飛ばして金沢に戻り、1330前には返却。そして今回の目当ての一つだったが、窯が臨時休業だった、上出長右衛門窯の金沢駅近くの旗艦店へ。そうしたら偶然、モーニングをご一緒したライターさんに再会して驚く。そしてやはり良いものが多く、豆皿と盃を買ってしまう。金沢のこの小川沿いのエリア、京都の高瀬川沿いのような趣がある。
まだ時間が早かったので、鈴木大拙館にでも寄ろうかと思ったが、朝からタイムアタックをしていたら疲労困憊になったので、帰ることに。駅までの道すがら、初めは前に食べて感動した郷土料理の治部煮でも食べて帰ろうかと思ったが、道端で見かけたスパイスカレーとウィスキーの店に衝動的に吸い込まれる。ボウモアのソーダ割りに安心感を覚えながらスパイスカレーをかき込む。駅に戻り、新幹線まで一時間ほど余裕があったので、タリーズで仕事。完全に日常に戻る。
九谷は工芸に関心を持ったきっかけの一つだったので、個人的に思い入れもあるのだが、今回はバタバタしてしまった。また改めてじっくり見に来たい。ただ改めて、西陣織や九谷焼のような貴族的工芸への関心はあまりないのではないかと再認識。むしろ、男鹿で見たなまはげのような、もはや工芸とも呼べないような、土着のクリエイティビティのほうが面白いなとも思う。でも一方で、宇治の朝日焼しかり、青がベースの釉薬が塗られた器に惹かれるということを再確認し、その感覚は大切に育てていきたいとも思う。
書き殴ってたら、なんか回復してきた。ほんと不思議。ひとまず今日は寝よう。最後に、今回、上出長右衛門窯で買ってうちの仲間になったものたちを。もうちゃんと撮る気力がなく、いま適当にスマホで撮ったものだけれど、惚れ惚れする。買ってよかった。