かなり前回から時間が空いてしまった。というのも、6末に友人のご厚意で、原発や帰宅困難地域の視察をメインとした福島の小旅行へと行って、そこの記録をしっかりと残しておこうと思って書きかけたものの、思いのほか筆が進みすぎて一向に書き終わる気配が見えず、とはいえ仕事もバタバタしていたので塩漬け状態で、その記事を仕上げないことには新たなブログを書こうという気にならなかった。
が、一旦諦めた。福島のことはまたいつか、機会があれば書くことにしよう。いまは書いて出す時期じゃなかった、ということで熟成させる。
そんなこんなで、7,8月も仕事に追われつつもありがたいことに色々な場所に行き、色々な人と話し、グルグルと揺さぶられ続けてきたのだけど、ちょっとそれを書いていたらまた停滞しそうなのでやめておく。一つあるとしたら、仕事で徳島にお茶摘みとその加工をしに行ったのが最大の夏の思い出、ということだろうか。
そして先週は、仕事で秋田へ。昨年春もプライベートで行ったので、なぜか連年。今回は秋田駅付近で仕事があったので、ついでに一泊し、男鹿のなまはげ周りを見てきた。「工芸の産地」と言っていいのかは微妙な気がしつつ、これもカウントすることにする。
とはいえ、いまあまり気乗りしないので、最低限の文章と写真だけ。
まずは秋田駅付近の街並み。秋田一の歓楽街、川反のあたりはその名の通り川沿いで、意外にも川のイメージが強い。とはいえ鴨川のような雄大な川ではなく、横浜の大岡川に近い気がする。
そして男鹿へ。だいたい車で1時間くらい。運転していたので撮れなかったが、風力発電エリアが異界に迷い込んだような異様な雰囲気。ここ本当に魔界感がすごいからぜひ行ってみてほしい。
風力発電1000基に向けて第1弾が稼働―秋田県・男鹿市の沿岸部にある県有地に― | 自然エネルギー財団
めまぐるしく変わる山の天気をなんとか超え、ひとまず、男鹿の最果ての入道崎へ。対岸はウラジオストック。
そして引き返し、なまはげ館と、前日に仕事先で教えてもらった真山神社。山岳信仰となまはげが一体であることを体感する。そしてなまはげ実演も見たけど、思ったより世間話していて人間らしい。秋田の各集落にある多様ななまはげor人形道祖神、これはまさに民衆的工藝そのものであり、「つくるのではなく生まれる」そのものであると感じた。民藝ではなく民俗学の領域であろうが、柳や河井はこうした「つくる」に対しては何か言及しているのだろうか。
そして秋田駅に戻る途中、「稲とアガベ」や「ブルーホール」など、ところどころ生まれ始めている新たなムーブメントにも触れる。稲とアガベは、休みの日にもかかわらずお酒を売ってくれた。
なまはげ文化の深淵さ、新たに生まれる文化の胎動、そのミックスが男鹿の面白いところだと感じた。今回、仕事でたずねた石倉敏明さんが、ダージリンの山奥と東北の山岳に同じように惹かれた気持ちが、ほんの少しわかった気がする。ちょうど昨日、別件で民藝と民俗学・民具の対立について少し話を聞いたのだけれど、あらためてそういう視野をもって工芸を勉強していきたいと思った。
対談「なまはげ文化人類学」石倉敏明×井野英隆【前編】 | なんも大学