Masaki Koike's blog

編集などを生業としています。モヤモヤの吐き出し、触れたものやつくったものの所感の備忘録など。

PaperWhiteとデューイについて

しばらくブログを書けていなかったが、また書きたい気持ちになったので書く。

 

少し前に、29歳になった。気づけば20代最後の1年。編集やライティングの仕事を始めてから、4年が経っていると気づく。沸々と湧き上がる、制作と勉強の衝動を、いかにしてよいサイクルやアウトプットにつなげていくか。それをテーマに、一日一日を大切に頑張りたい。

 

誕生日に、パートナーにKindle Paperwhiteをもらった。これが本当に快適。自分は完全に紙の書籍派で、物理的な本棚というものを重要視してきたのだけれど、漫画はもうKindleで完結する感じがする。そもそも自分は大学生以降、漫画を読む習慣がなくなってしまい、コロナ禍になってからスマホやPCのKindleアプリで息抜きに読むようになったくらいなのだけれど、やはいPaperWhiteはリーダビリティが格段に違う。紙の漫画を読んでいるのとほぼ変わらない感じがするし、何よりPCやスマホのアプリと違って、アプリ上から買えてしまうのが罪。ここ最近は、ドラマは大好きだったのだけれど原作漫画は読んでいなかった『きのう何食べた?』にどハマりしていて、2周めが読み終わりそう。ある意味で“純粋”なパートナーシップ、生活を懸命に楽しむこと。楽しく読みながらも、つねにうっすら泣きそうになってしまう。人生の中でも大切な漫画作品の一つに入るだろう。

 

それから、最近はデューイを熱心に読んでいる。自分はいちおう教育哲学徒だったのだが、出身学科がアーレントハイデガーを教育哲学に応用するとか、わりとアクロバティックな研究や教育をしている教員が多く、ルソーやらデューイやら、鉄板の教育哲学書をあまり読んでこなかった。アーレントランシエールに比べると、デューイはなんだか湿っぽいイメージがあって、かなり距離感があった。しかし、メディアの仕事をするようになって、また「学ぶ」ことと「作る」ことに関心を持って民藝やパタラン、福祉や学習論、生活にまつわる思想などをつまみ食いするようになったいま、デューイが問題意識にバシッとはまった。根本思想である経験学習の議論はもちろん、人間の根本的欲求として「作ること」を挙げていて、その前提で生活から体系的な知にアクセスしようとしている点、また理論だけではなくデューイ・スクールでの実践と往還している点など、今の自分にとって学ぶべき点ばかり。文章もかなりスッと入ってくる。しばらく、デューイの著作、まらデューイ研究の本やプラグマティズム関連の探求を続けようと思う。教育学徒時代はほんとうに興味のなかったデューイが、いま一周回ってバチバチに響いてくるから不思議なものだ。