Masaki Koike's blog

編集などを生業としています。モヤモヤの吐き出し、触れたものやつくったものの所感の備忘録など。

「書かずして書く」環境をいかにしてつくるか

今週は比較的いろいろなことがあって、思考が揺さぶられたり固まったりした一週間でした。

 

まず、一番大きかったのは、やはりPLANETS16年ぶりの新雑誌『モノノメ 創刊号』が読者の方々に届き始めたこと。

トレンド無視だけれど、日々の暮らしにかかわる重要な問題が、かたいけどやわらかい筆致や世界観で、たっぷりと詰められている一冊。エナジードリンクのように速攻でアドレナリンを出してくれる効果はないけれど、漢方薬のようにじわじわと効いてくる雑誌になっていると思います。

僕はレベッカ・ソルニット『ウォークス』の書評エッセイを寄せているのと、いくつかの企画の取材・構成、全体の校正協力などで末席を汚させていただきました。

手前味噌ながら、3,000円出す価値のある、ゆっくりと、何度も読み返せる一冊になっていると思います。限定5,000部販売で、まずは直販と一部書店で丁寧に売られていくので、気になった方はご検討いただけると嬉しいです。

また、ここ重要ですが、今後、年2回の定期刊行予定です。既に、ぼちぼち第2号に向けて動きはじめるみたいで楽しみです。

wakusei2nd.thebase.in

 

この雑誌、基本的にまずは全部直販、かつ書店さんへも取次を通さずに卸しているわけです。というと格好良く聞こえますが、これは裏を返せば、梱包・発送や搬送の多くを自社で賄う必要があるということ。僕も少しだけ梱包・発送のお手伝いをしたのですが、これがけっこういい経験になりました。久しぶりに地道な手作業をして気分転換になったのはもちろん、インディペンデントなメディアをやるということの手触り感を体感できました。雑誌に限らず、これからはBASEなど直販でものを買う時、より一層感謝せざるを得ないなと思わされましたね。

そして、ここ数年、いまの仕事をはじめてからは遠ざかっていましたが、こういう手仕事のようなことは、もともと結構やっていたなということも思い出しました。前職はBtoB SaaSのスタートアップにいたのですが、主にマーケティングをやっていて……というと横文字ばかりで聞こえがいいですが、実際は広告やメディア運営、イベント運営など何から何まで少人数でやる感じだったので、物理的に疲れる準備や片付けなども多数やっていました。で、仕事のベースがデジタルで実体がわかりづらいものと向き合っているからか、疲れはするけれどけっこうそういう仕事が好きだったんですよね。

 

それから今週は、毎月やっているこの読書会の第2回もやりました。岸政彦『断片的なものの社会学』は、読む度に、「人の話を理解する」ということの難しさと不可避性の渦に溺れそうになります。そして何より、トークの中で、そうした難しい営みなのだけれど、自分がこの仕事を続けているのは、なんだかんだ文章をつくるというプロセスが好きなのだなと認識できたのもよかった。ここ数ヶ月、いろいろとキャリアについて悩んでいたのですが、最近はそれが一周回って、「一つひとつ全力でいいものをつくっていこう」というフェーズに差し掛かりつつあります。

note.com

 

そして、いま書いていて思いましたが、やはりブログは朝が一番書ける。最近けっこうブログを書きたいという気持ちは持っているものの、昼間はなんだかんだ仕事でバタつくし、夜は疲れてアウトプットする気力が残ってないしで、やっぱり書き物はなんだかんだ朝なのだろうなと。ちょっと前に『ライティングの哲学』を読んだときも改めて思いましたが、結局は「書かずして書く」、自動的に書く環境をいかにつくるかが勝負だなと。今日から、朝やることの選択肢の一つに、書き物を入れてみようかなと思いました。

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