Masaki Koike's blog

編集などを生業としています。モヤモヤの吐き出し、触れたものやつくったものの所感の備忘録など。

中庭

ここ数週間、佳境を迎えていた書籍プロジェクトが、全然まだ校了とかではないんだけれど、ようやくある程度目処が見えてきて、ふと少し余裕のある期間が生成された。余裕が生まれた途端、なにか仕事ではないものを自主的につくりたいな、という気持ちが生まれてくるから不思議だ。とはいえ、流石に疲れている。今日、いくつか行きたかったイベントや展示があったのだけれど、都内に出て行く気力がどうしても出ず、MP的に限界を迎えたので、断念した。代わりに、ではないけれど、かなりメンタルが黄信号だったのでひとまず外に出て、近所のコーヒースタンドに併設されている中庭スペースで、エチオピアを飲みながら、本当に久しぶりにぼーっとしていたら、少し回復した気がする。でも同時に、どんなに仕事が充実していても、プライベートや生活の不安定さがある限り、根本的にはしんどい状態にあるのだなということもなぜか再認識。それから昨日ふと、これからどんなに頑張ったり、幸運に恵まれたりしても、20代の時間は永遠に戻ってこないのだなということに気づき、絶望的な気分になった。自分が30代になったことはすっかり受け入れているし、そこに対するネガティブな感情は特にないのだけれど、失われた20代の不可逆性にあらためておののく。具体的に20代に何をしておけばよかったとか、そういうことがあるわけではないのだけれど。最近、仕事の関係もありベルクソンの時間論を勉強しているのだけれど、そもそも年齢なんて、本来は相対的で多様なものであるはずの時間を、便宜上空間的メタファーに押し込んだだけのもので、本質的には虚構であることは実感としてもよくわかる。でも、その虚構にすがってしまうのもまた人間だし、そこにある種の情緒性も見出してしまう。でも、『こっちを向いてよ向井くん』で波瑠演じる酒井土さんが言っていたように、30代の予想外のままならなさを、楽しんでいくしかない。